2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、1割超にあたる104社が6月8日までに倒産や廃業、電力事業の契約停止や撤退をした──帝国データバンク(TDB)は6月13日、そのような調査結果を発表した。3月末時点では31社だったが、2カ月で3倍以上に急増したという。
新電力の多くは、自ら発電機能をもっていないため、大手電力会社やその他の発電事業者から相対契約で電気を購入するか、または、大手電力会社や独立発電事業者などが電気を供給する卸電力取引所を通じて電気を購入し、それを個人や法人に販売しています。問題はこのうち、取引所への依存度が高い新電力です。いまロシアのウクライナに対する軍事侵攻の影響で、火力発電の燃料となる天然ガスのスポット価格が一時去年の10倍以上の水準にまで高騰。こうした影響で日々価格が変動する卸電力取引所の価格も値上がり。今年3月には一キロワットアワーあたりの平均でおよそ26円と、去年の同じ月に比べると4倍以上まで跳ね上がり、その後も高止まりしています。新電力にとって取引価格の値上がりは電気の調達コストの上昇に直結します。この状況で顧客に従来の料金プラン=つまり大手電力会社よりも安い価格で電気を販売すれば赤字になってしまうことから、新規の契約を停止したり、事業からの撤退、最悪の場合、経営破綻に追い込まれるケースが増えているのです。
安さに飛びついて、そのツケが来たという人もいますが、誰しもが少しでも安くと考えるのはやむを得ない事で、そこを責めるのは違う気がします。リスク面の説明と、まさかの事態(戦争)等、予期せぬ要因があったことは否めないように思います。
ただ、やはりインフラは国の管轄にしておくのがいいと感じました。なんでも自由化すれば競争原理が働いて、利用者にいいようになるかというと、その分リスクが高まる事も理解しなければならないと思います。